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強迫事件と恐喝事件。警察の捜査はどう進む?

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様々な民事トラブルから刑事事件に発展することが多いなかで,脅迫や恐喝に発展してしまうことも少なくありません。
トラブルを通じて,つい行き過ぎたことを言ったがために自分自身が犯人になってしまうことも。

今回は一般の方が犯罪者になる事態に陥りやすい脅迫や恐喝について触れてみましょう。

脅迫と恐喝,何がちがうのか?

まず『脅迫』は刑法第222条に「生命,身体,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者」と明記されており,刑罰は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

一方,恐喝は刑法第249条に「人を恐喝して財物を交付させた者」と明記されており,刑罰は10年以下の懲役で罰金刑はありません。

いつものことですが,刑法の条文は簡単に書いているから分かりにくいですね。

脅迫でいう「害を加える旨を告知」のことを『害悪の告知』といいます。
「ぶっ殺すぞ!」や「◯◯しないと会社にバラすぞ!」などの言葉は害悪の告知に該当します。
害悪の告知を受けた被害者が「本当に危害を加えてきたらどうしよう」と恐怖を感じれば脅迫は成立します。

反対にどんなに威圧的な言葉を吐かれようが,それを「どうせできないだろ?」と怖がる気持ちがなければ,脅迫は成立しないことになります。
(そんなことを正直に言う被害者はいませんが)

恐喝は条文自体が急に「恐喝して」と書いているあたりが非常に不親切ですね。
この部分は脅迫でいう害悪の告知と同じです。
つまり「ぶっ殺すぞ!」までで止まれば脅迫,「ぶっ殺すぞ!金をよこせ」で実際に財物を脅しとれば恐喝,となるわけです。

「殺すぞ!」と脅されたから録音したけど,どうなるの?

最近では,容量が大きくて高性能なのにコンパクトなレコーダーもあるし,携帯電話自体の録音機能やアプリケーションも少し前と比べると格段に性能がよくなっています。
相手から脅迫されることが予想できていれば,前もって録音の準備をしておけば良いでしょう。

もし相手から「殺すぞ!」と脅迫された場合はどうなるのでしょうか?
この場合,警察に被害届を提出すれば,任意になるか強制になるかは別として,相手は送検されることになります。

警察に相談する時には,録音した媒体などを持参するとよいでしょう。
録音の内容は媒体などを預かった警察が確認することになりますが,会話の当事者しか分からない内容や単語が出てくることも多いので,AとBの会話形式で会話を文章に起こしておくと良いでしょう。
この作業を『反訳』,文章に起こしたものを『反訳書』と呼びます。

脅迫,恐喝の捜査で難しいのは?

脅迫や恐喝は,捜査するにあたって難しい点がいくつかあります。

まず難しいのは『言葉』という不確かな証拠に頼っていること

録音がないと立件できないわけではありませんが「ぶっ殺すぞ!と言われました」という被害者と「そんなことは言っていない」と反論する被疑者の供述が相対する時は,被疑者に刑罰を下すことが非常に難しくなります。
いわゆる「言った,言わない」の勝負になると,どちらが正しいのか判断もつきにくく,警察が送検しても検察庁で起訴猶予などの処分に落ち着いてしまうことが多いのです。

故に検察庁も「録音などの証拠はないですか?」と物的な証拠を求めます。
被疑者が「確かにそう言いました」と認めた証拠が警察官の取調べのみである場合は,検事も判事も刑罰を科すことに慎重にならざるを得ないのでしょうね。

次に難しいのは被害者の意識です。
実際のところは脅迫を受けても畏怖する感情は全くないのに,相手を陥れたいがために被害届を提出しようとする場合もあります。

重要なのは文言ではなく畏怖の感情ですが,知略的な被害者はさも恐ろしい目に遭ったかのように演じて被害届を提出します。
被害者が,事件化を利用して民事トラブルを有利に進めようとしていないか,背後関係はどうなっているのかを読み取って事件化が適当かどうかを見極める必要があるという点では,脅迫や恐喝は非常に難しい面を持っていると言えるでしょう。
自分自身が被疑者にならないために,揉め事の渦中にある相手との会話は脅迫と捉えられるような文言を使わないよう注意してください。

最後は,証拠隠滅です。
証拠隠滅と言っても,録音データを消去されるなどの物的なことではなく,口封じなどの人的な証拠隠滅を指しています。

被害者が警察に相談したり被害届を提出することで,被疑者が「よくも警察に言ってくれたな!」とさらに脅迫してくることも少なくありません。

また,被害届の取り下げを請うために低姿勢ですりよってくる場合もあります。

被害者と被疑者を接触させてしまうと,さらなる脅迫か懐柔のどちらかを受けてしまうので,被害者には「被疑者と接触しないように」と指導しますが守られないのが現実です。

被害者側のフォローが非常に重要で,かつ難しいところだと言えるでしょう。

 


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