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贈収賄事件が発覚して警察が動くきっかけとは?

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贈収賄事件といえば,年に何度かニュースで「◯◯県警本部は…」「東京地検特捜部は…」と耳にするアレですね。

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各都道府県警察は,贈収賄事件の検挙に血まなこになっています。
そのためだけに『刑事部捜査第二課』という課が存在していると言っても過言ではないのですから。

今回は一般的にはちょっとなじみのない贈収賄事件について触れてみましょう。

贈収賄事件が発覚するきっかけとは?

まず贈収賄についてカンタンに触れておきましょう。

贈収賄という言葉で一括りになっていますが『贈賄』と『収賄』はそれぞれ条文が異なります。
贈賄は刑法第198条に「(前略)賄賂を供与し,又はその申込み若しくは約束をした者」と明記し,刑罰は3年以下の懲役または250万円以下の罰金です。
収賄は刑法第197条に「公務員が,その職務に関し,賄賂を収受し,又はその要求若しくは約束をしたとき」と明記し,刑罰は5年以下の懲役です。
贈賄は「賄賂を贈る側」収賄は「賄賂を受け取る側」ですね。
贈賄は3年以下で罰金刑あり,収賄は5年以下で罰金刑なしですから,収賄側,つまり公務員は重い刑罰を受けることになります。

先に触れましたが,各都道府県警察には『刑事部捜査第二課』という課が存在します。

ここにある特捜班が贈収賄事件の専門捜査を行っています。
特捜班員は,贈収賄事件のきっかけをつかむために様々な手法で捜査します。

例えば質屋まわり。
商品券を大量に,しかも定期的に売却している人物が公務員であれば収賄の可能性大です。
単なる酔っ払い同士のケンカでも,当事者が公務員であれば同行者の情報まで調べます。
もし建設会社などの役員と同行していれば,接待を受けている可能性があります。
協力者からの情報も有力です。
それぞれの班員が色々な分野に協力者を開拓しており,贈収賄事件のきっかけを探しています。

例えば,公立高校の教員が協力者にいれば,ウマの合わない同僚教員のことを「アイツは部活に用具を納入するスポーツ店から飲み食いさせてもらって小遣いまでもらってるぞ」とリークしてくれます。

また,匿名のタレコミも濃い情報が多く,情報を磨き上げれば事件になることもあります。

贈賄と収賄,どちらから発覚するの?

贈賄と収賄のどちらから事件が発覚する割合が大きいのでしょうか。
これは圧倒的に収賄です。
先に述べましたが,贈収賄が発覚するきっかけがたくさんある中で,収賄側が賄賂を処分する経路で露見しやすいからです。
収賄被疑者は露骨な現金を嫌う傾向があり,また現金を求めても贈賄側が現金を用意することが困難な場合があります。
お互いが,時代劇の「お主もワルよのぅ」のような饅頭箱に小判ではバレやすいと思うのでしょう。

例えば,国立病院の医師と医療器具の会社との間で利益供与が行われる場合,医療器具の会社は医師に贈る現金を用意することは会社の会計上も難しくなります。
そのため,単価と換金価値が高いパソコンを複数台用意し,サービス品などと処理して贈ることになります。

パソコンを贈られた医師は,これをパソコンの高価買取店などに持ち込むため,通常では同一のパソコンを複数台売却する行為が不可解であり,捜査側に嗅ぎ付けられることになります。

実際は,全て現金のやり取りにしてしまえば,会社の会計を調べれば証拠をつかむことはできますが,そこに行き着くきっかけは不透明すぎて表に出ないものです。
贈収賄被疑者,特に収賄側は証拠が残ることを恐れる割には,きっかけを隠すことを怠る傾向があります。
せっかく贈賄側が気を使っているのに,無防備な収賄側が露見させてしまうのだから,贈賄側にとっては迷惑な話でしょうね。

捜査のきっかけとなるのは収賄側ですが,捜査側として攻めやすいのは断然に贈賄側からの発覚です。

ポイントは『公訴時効』。
贈賄より収賄のほうが法定刑が重いと説明しましたが,すなわち贈賄が先に公訴時効を迎えることになります。
具体的には,贈賄の公訴時効は3年,収賄の公訴時効は5年です。
つまり,事実から3年を過ぎて5年以内の贈収賄は,収賄だけが罰せられることになります。
捜査側としては,贈賄被疑者が「参考人」に格落ちするわけですから,供述を得やすくなるわけです。

贈収賄事件は,被害者が存在しない,贈賄側も収賄側も「WinWin」の関係だと思われがちですが,実際のところは地位を利用して横柄な態度を取る収賄側に,贈賄側が嫌気を感じているケースがほとんどです。
ですから,公訴時効を迎える頃に情報がリークされることが多くあります。

贈賄側が,横柄な収賄側に対して強力な鉄槌を振り下ろすわけですね。
「3年以上も前の話なのに」と寝耳に水の収賄側ですが,収賄側は,その3年以上も前というところが一番危険だと認識すべきです。

最近では,観光庁にタブレットなどの端末を導入する動きが多くありますが,サービス品などとして個人的に受け取ると3年後に泣きを見るハメになるでしょう。


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