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刑事事件

裁判所の側から見た通信傍受の手続の解説<1>

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犯罪捜査のための通信傍受に関しては,刑事訴訟法が「通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分については,別に法律で定めるところによる。」(222条の2)と規定しています。

犯罪組織による薬物の密売事犯等では,取引や連絡に電話等の電気通信が巧妙に使用されることなどから,その摘発には,通信傍受が有効な手段となります。
しかし,電話傍受などの通信傍受は,「通信の秘密を侵害し,ひいては,個人のプライバシーを侵害する強制処分」に当たります(最決平11.12.16刑集53巻9号1327頁)。
そこで,強制処分法定主義についての刑事訴訟法197条1項ただし書の要請を満たすものとして,犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(以下「通信傍受法」又は単に「法」といいます。)が制定されました。
したがって,通信傍受は,通信傍受法で定める厳格な要件・手続により,同法が定める傍受令状によって実施することになったのです。

通信傍受法の意義とは?

通信傍受法にいう「通信」とは,電話その他の電気通信で,その伝送路(通信が伝送される経路)の全部若しくは一部が有線であるもの,又はその伝送路に交換設備があるものをいいます(法2条1項)。

伝送路の全部が有線である通信の例としては,固定電話による通信や有線によるコンピュータ通信があり,伝送路の一部が有線である通信の例としては,携帯電話による通信があります。

これに対し,無線のみによる通信は,第三者に聴取されること自体は受忍せざるを得ない形態ですから,通信傍受法にいう「通信」には当たりません。
通信傍受法にいう「傍受」とは,現に行われている他人間の通信について,その内容を知るため,当該通信の当事者のいずれの同意も得ないで,これを受けることをいいます(同条2項)。
通話内容自体の傍受ではなく,電話番号や通信履歴の探知のみを目的として,現に行われている他人間の通信を受ける場合は,通信傍受法の適用外になります。
この場合も「通信の秘密」等を侵害する強制処分ですが,現行法の「検証」として可能であると解されています。
そして,「現に行われている他人間の通信」に限られるため,傍受実施開始時に既に特定の受信者のメールボックスに蓄積されている電子メールの内容を知ることは,通信傍受法の傍受には当たりません。
この場合は,捜索差押許可状又は検証許可状により行うことになります。
また,通信の当事者のいずれかの同意を得て行われる場合も,通信傍受法の傍受に当たりません。

通信傍受法の対象となる犯罪とは?

対象犯罪は,特に通信傍受が必要不可欠と考えられる組織的な犯罪に限定すべきとの観点から,通信傍受法の別表に掲げる薬物関連犯罪(別表1号,2号,4号,6号及び8号),銃器関連犯罪(別表5号及び7号),集団密航の罪(別表3号)及び組織的な殺人の罪(別表9号)の4種の罪(以下「別表犯罪」といいます。)に限定されています(法3条1項)。

 

裁判所の側から見た通信傍受の手続の解説<2>に続く


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