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刑事事件

裁判所の側から見た通信傍受の手続の解説<2>

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関連記事はこちら 裁判所の側から見た通信傍受の手続の解説<1>

傍受令状発付の要件とは?

※ 令状裁判官は,傍受令状を発付するためには,下記の①ないし④の要件(法3条1項)を事前に審査しなければなりません。

① 犯罪の嫌疑

⑴ 要件その1
㈠別表犯罪が犯されたと疑うに足りる十分な理由1)があること(同項1号),㈡別表犯罪が犯され,㊀引き続きこれと同様の態様で犯される同一若しくは同種の別表犯罪又は㊁当該犯罪の実行を含む一連の犯行計画に基づいて別表犯罪が犯されると疑うに足りる十分な理由があること(同項2号),又は㈢死刑又は無期若しくは長期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪が別表犯罪と一体のものとしてその実行に必要な準備のために犯され,かつ,引き続き当該別表犯罪が犯されると疑うに足りる十分な理由があること(同項3号)。
そして,これら㈠㈡㈢のいずれかを充たすこと。

⑵ 要件その2
当該別表犯罪が数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があること(例外は,同条2項参照2))。

② 犯罪関連通信

上記①の犯罪(⑴の㈡及び㈢にあっては,その一連の犯罪をいいます。)について,その実行,準備又は証拠隠滅等の事後措置に関する謀議,指示その他の相互連絡その他当該犯罪の実行に関連する事項を内容とする通信(「犯罪関連通信」といいます。)が行われると疑うに足りる状況があること。

③ 補充性

他の方法によっては,犯人を特定し,又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であること。

④ 傍受すべき対象の特定

傍受の対象となるべき通信手段が,電話番号その他発信元又は発信先を識別するための番号又は符号によって特定された通信手段であって,被疑者が通信事業者等3)との間の契約に基づいて使用しているもの(犯人による犯罪関連通信に用いられる疑いのないものは除きます。),又は犯人による犯罪関連通信に用いられると疑うに足りるものであること。

「傍受令状請求の手続」とは?

① 請求権者

検察官(検事総長が指定する検事に限られます。)又は司法警察員(公安委員会が指定する警視以上の警察官,厚生労働大臣が指定する麻薬取締官及び海上保安庁長官が指定する海上保安官に限られます。)に限定されています(法4条1項)。

② 請求先

地方裁判所4)の裁判官に限られます(同条1項)。

③ 請求書5)の記載事項

請求書には,次に掲げる事項及び傍受令状発付の要件たる事項を記載しなければなりません(通信傍受規則3条)。

⑴被疑者の氏名(明らかでないときはその旨)
⑵被疑事実の要旨,罪名及び罰条
⑶傍受すべき通信
⑷傍受の実施の対象とすべき通信手段
⑸傍受の実施の方法及び場所
⑹傍受ができる期間
⑺請求者の官公職氏名
⑻請求者が①の指定を受けた者である旨
⑼7日を超える有効期間を必要とするときは,その旨及び事由
⑽請求に係る被疑事実の全部又は一部と同一の被疑事実について,前に同一の通信手段を対象とする傍受令状の請求又はその発付があったときは,その旨。

④ 資料の提供

請求するには,傍受の理由及び必要があることを認めるべき資料を提供しなければなりません(通信傍受規則4条)。

裁判所の側から見た通信傍受の手続の解説<3>へ続く



1) 対象犯罪の嫌疑の程度としての「十分な理由」は,緊急逮捕における「充分な理由」と基本的に同じと解されています。
2) 別表犯罪であって,譲渡し,譲受け,貸付け,借受け又は交付の行為を罰するものについては,法3条1項の規定にかかわらず,数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況
があることを要しません(法3条2項)。これらの罪は,当然に複数人が関与し,その間の連絡が想定されるからです。
3) 通信事業者等の定義は,法2条3項に規定されています。内線網を設置するホテル等も含まれます。
4) 具体的な請求は,請求者の所属の官公署の所在地を管轄する地方裁判所の裁判官にこれをしなければなりません。
ただし,やむを得ない事情があるときは,最寄りの地方裁判所の裁判官にこれをすることができます(通信傍受規則18条,刑事訴訟規則299条)。
5) 傍受令状の請求は,書面でこれをしなければなりません(通信傍受規則18条,刑事訴訟規則139条1項)。

 


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