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告訴と被害届の違いとは?

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犯罪の被害に遭った時,警察に届け出をすると一般的には『被害届』を提出することになります。

では,同じく犯罪の被害に遭って提出する『告訴』と被害届にはどんな違いがあるのでしょうか?
今回は被害届と告訴の違いや,それぞれのメリット・デメリットについてお話しします。

告訴と被害届の違いとは?

告訴と被害届の違いは「犯人への処罰意思の有無」です。
そんなことを言っても,被害届だって犯人を捕まえて処罰して欲しい!と思うでしょう。

告訴は,刑事訴訟法第230条「犯人により害を被った者は告訴をすることができる。」と規定されており,さらに同法第242条には「司法警察員が告訴又は告発を受けた時は,速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」としています。

この規定によって,告訴は「受理されること」=「速やかに送検される」という結果が約束されています。

一方,被害届は『犯罪捜査規範』という刑事警察の実務法の第61条に「警察官は,犯罪による被害の届出があった時は,その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず,これを受理しなければならない。」と規定されているのみです。

告訴のように送検までも約束されているわけではありません。

つまり,告訴と被害届の違いとは「送検が約束されているか否か」にあります。
必ず送検に至って処罰を求めたいという強い処罰意思の表れが告訴です。
被害届は,犯罪被害を受けた事実を申告するだけの届出にとどまるものなのです。

告訴と被害届,それぞれの効果とは?

告訴と被害届は,共通して「捜査の端緒」としての効果を持ちます。
告訴の特別な効果は何度も言うようですが「必ず送検されること」です。

たとえ捜査の結果で犯罪にならないことが判明しようが,被害者からの取り下げがあろうが,必ずその結果を添えて送検することになります。
送検=起訴=有罪ではありません。

警察が送検する際には必ず『情状意見』を添えます。
情状意見とは,犯罪の背景や被疑者の身上などから「事件が悪質である」「結果として犯罪に至ったが同情の余地がある」などの見解を警察が述べるものです。
実際に,民事トラブルから相手方の急所を突いた告訴がなされても,告訴を受理したからには送検に至りますが,実質的には処分がないことと同じである『起訴猶予』に落ち着く事件も少なくありません。
さらに告訴には,検察官に対して,起訴した場合や起訴しない場合の処分結果の通知が義務付けられています。
被害者に対し,事件がどのように処理されたのかを通知することを義務付けているのは告訴の特異点でしょう。

一方,被害届に与えられた効果は「捜査の端緒となる」ことしかありません。
被害届は検察庁から様式の指定を受けている『司法警察員捜査書類基本書式例』にも定義されていない警察独自の様式です。
基本的には警察署長まで目を通して決裁する書類ですが,どのように捜査して,送検の必要があるか否かを判断することは警察に任されているのです。

告訴と被害届,それぞれのメリットとデメリットは?

告訴のメリット
  • 受理されれば速やかな捜査によって必ず送検されること。
  • 検察庁からの処分結果通知を受けられること。
告訴のデメリット
  • 捜査協力が負担になること。
  • 事実と著しく異なる告訴をした場合に虚偽告訴罪などで反撃を受けやすいこと。

速やかな送検のためには,事情聴取や証拠資料の提供など,かなりの負担が生じるので,積極的な協力が必要になります。

また,被害者が強く思い込んでいる内容が事実と異なっていたり,思惑があって虚偽の内容を織り交ぜたりすると,虚偽告訴罪に問われたり,場合によっては損害賠償請求を受ける危険もあります。

「犯人を名指しして処罰を求める行為」に対するリスクを理解しておく必要があるでしょう。

被害届のメリット
  • 犯罪被害の申告にとどまるので,受理が容易であること。
  • 事情聴取のうえで警察官が代書してくれるので,弁護士などの専門家に依頼する場合に比べて,費用負担がないこと。

届出があれば警察官は被害届を受理する義務があります。
また,一般的には作成が困難かつ費用負担が発生する告訴状と異なり,警察官による代書で作成される被害届は敷居が低いと言えます。

被害届のデメリット
  • 捜査の裁量が警察官に任されていること。

被害届は,時間が過ぎれば未解決事件のファイルに綴じこまれてしまい,日の目をみないまま時効を迎えることもあり得ます。
長期未解決であることの報告義務もない(殺人などの被害者支援制度が適用される事件を除く)ので,被害者の立場からすれば捜査の進捗状況が不透明であることは不親切でしょう。

それぞれにメリット・デメリットがありますが,基本的に警察は「告訴だから捜査する,被害届だから放置してもよい」というスタンスではありません。
必要性や処罰意思の強さに応じて手段を選択するべきでしょう。

 

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