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採用面接で質問すると違法になるかもしれない質問5つ

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企業(会社)としては、労働者を一度雇ったら、労働者によほど重大な問題が無い限りはそう簡単にやめさせることはできません。

このため、採用の面接は慎重に行い、様々な角度から聞きたいと考えるでしょう。
しかし、職業安定法第5条の4では、企業は採用の目的の達成に必要な範囲内でしか個人情報を収集してはいけないとしております。
具体的には平成11年労働省告示第141号(最終改正平成24年厚生労働省告示第506号)で、どのようなことを採用において質問してはいけないかも告示しております。憲法第22条には職業選択の自由も定めていますので、それを侵すことのないようにする必要があるでしょう。
下記の5点に留意してください。

採用面接で質問すると違法になる可能性のある質問

結婚・出産の予定

結婚や出産を控えているという情報を、特に女性に対して不採用の判断基準にする採用の仕方が見受けられますが、こういった質問は男女雇用機会均等法(特に第5条)に抵触するとされています。
企業側にとって見れば人員配置等に支障をきたすことを避けたいのでしょうが、労働者の子育てに不利益をもたらす扱いは、昨今は特に厳しくなっていることに気をつけたほうがよいでしょう。

思想・信条

宗教・支持政党・政治思想・愛読書などを聞いてはいけないとされています。これは思想・良心の自由(憲法第19条)、信教の自由(憲法第20条)に抵触する恐れがあるからです。
過激な思想を持つ人間や、労働組合の活動に熱心になりそうな人を不採用にする意図があるのでしょうが、それはやってはいけないということです。

本籍地・出生地

本籍地・出生地を聞いたり、戸籍謄本・住民票を提出させたりするのはいけないとされています。
これが問題なのは、同和問題のような差別の恐れがあるからです。
同和地区とされている本籍や出生だったからと言って不採用とするのは、本人の意思とは関係ない差別にあたり、法の下の平等(憲法第14条)の精神に反するとされています。

かつて、採用後に労働者の戸籍謄本や住民票を提出させる慣行があり、近年でもこのようなことを求める企業もあります。
職業安定法に抵触するのは採用時の提出ですが、このようなことが差別につながるとしておりますので、採用後にも求めるのは避けるべきでしょう。

自宅付近の状況

求職者の自宅付近の状況を図に書かせたりする、もしくは間取りを聞いたりするのも問題とされております。
このような個人情報が、上記の本籍地・出生地を聞くのと同様に、差別に基づく不採用につながりかねないからです。
かつ身元調査を採否の判断にすることも認められていないのです。
なお、採用後に通勤経路の把握等で聞くのは、構わないとしているところもあります(島根労働局など)。

家族の構成や職業・年収他

家族の構成や職業・年収等、家族の状況を聞くのもいけないとされています。
家族の状況のように、本人の責任に基づくものでないものを採否の判断材料にするのは問題であるという発想からです。

なお、公務員の臨時職員の採用では、縁故採用を防止するためにあえて聞いているケースもあります。
国家公務員法第27条・第33条や地方公務員法第13条・第15条の規定に基づいて公正な選考を目的としたものと思われますが、臨時的任用の職員に適用されるかは議論の余地のあるところでしょう。

≪まとめ≫

上記の点を採否の判断にしないよう気をつける必要がありますが、採用後については、引き続き気をつけるべきところと、必要に応じて収集すべきものがあります。

  • 差別については、採用後も気をつける必要がある。
  • 思想についても、業務に重大な支障がない限りは自由を尊重すべき。
  • 一方で税や社会保険の手続き、給与計算等を行う上では家族の状況や通勤経路等、必要に応じて収集すべきものもある。
    社会保険被扶養者の届出では、戸籍謄本が必要なケースもあります。
    その点は区別しておきましょう。

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