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採用面接で「精神疾患」に関する質問する時に気をつけたいこと

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採用面接で、精神疾患のような一種の病歴を求職者に質問するのは、躊躇したくなる面があるのではないでしょうか。

求職者側にしても就職できなくなる危険性に怯える可能性がある、とてもデリケートな問題です。
そんな中、平成30年には障害者雇用促進法の改正により精神障害者の雇用義務化が始まり、企業側は精神疾患や精神障害に対する配慮を整えないといけない時期にあると言えます。
精神疾患を質問するのは、聞き方が大事なのです。
以下、その点に関して適法な質問と違法な質問に分けて解説します。

採用時の面接で精神疾患について適法に質問する方法

採用時の面接で質問すると違法になる5つのポイント」では、こういう質問をすると職業安定法などに抵触するということについて触れておりますが、精神疾患のような健康情報を質問することに関しては、厚生労働省も法に抵触するとはしておりません。
採用後の労働に関して、健康については配慮が必要になるからです(労働契約法第5条)。
健康診断やストレスチェックも行っていくことになるでしょう。

「精神疾患にかかっていますか?(かかったことはありますか?)」と素直に聞き、また具体的な病状を把握することは、問題ないとされています。
ただ、質問に対する回答がノーコメントだったとしても認めるようにしましょう。
求職者の自己申告で病歴無と回答した後、実際には精神疾患にかかったとなれば、求職者の重大な経歴詐称にあたる場合は(採用後すぐ長期間の休職になった等)解雇することも妥当とは考えられています。

職業安定法第5条の4で禁じている就職差別につながらないようには気をつける必要があります。
精神障害者雇用の義務化が始まるとなると、ゆくゆくは精神疾患にかかった方にも配慮が必要になります。
必要に応じて業務量・労働時間の制限や配置転換を考えるなど、会社側の配慮を十分に示したうえで、精神疾患の質問をするのがベストと言えます。

こんな質問の仕方は違法になる!

精神疾患のことを質問するのは、「業務の目的の達成に必要な範囲内で」(職業安定法第5条の4)という制限があります。

精神疾患の病歴を質問しても差し支えないとは言っても、これを興味本位に聞いたら違法になります。
また病院名まで質問するのは、必要な範囲とは考えられない個人情報に該当するでしょうから、違法性を帯びてきます。

また、企業には労働者の健康を害することのないよう、安全配慮義務があります。

例えば「うち月90時間ぐらい残業あるけど、過労で精神を患ったことは無いか?」という質問は何が問題でしょうか。
このような健康を害するような長時間労働を前提とした質問は、その質問に違法性を帯びてきます。
自らが精神疾患の患者を作りだすかのような状況は、企業の姿勢を問われることにもなりかねません。

精神障害者雇用の義務化を考えると、実質的に労務不能ではないかという恐れがあるのならともかく、精神疾患の既往歴だけで不採用とするような採否判断は就職差別になる可能性もあり、危険性を伴います。

実際にはそのようにせざるを得ない経営者も多いでしょうが、軽々しく「メンタル弱い人は雇いたくないから聞くけど・・・」と表に出したら、就職差別ととられ違法性を帯びてくる点は十分に気をつける必要があると言えます。

これから実施される制度と絡めて解説してきましたが、大事なのは精神疾患を質問するのに採否判断をにおわせないほうがいいということです。
採否に影響するのは求職者もナーバスになるので、正直に答えてくれないリスクを抱えることになります。

企業には従業員の健康に対する配慮義務があることを丁寧に説明すれば、求職者も正直に答えようとするのではないでしょうか。
また精神疾患のことを質問するのであれば、精神疾患の医学的詳細についても理解を深めておく必要はあるでしょう。


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