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どのような条件が揃えば捜査機関が告訴を受理するのか?

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告訴といえば「警察が受理したがらない。受理してもらえない。」というイメージが強くあると思います。

実際に,告訴は様々な要件や告訴人の意図次第で不受理になることも多く,せっかく告訴状を作成して準備万端と思っていても,思惑どおりに受理させることは容易ではありません。
ここでは,捜査機関にスムーズに告訴を受理させるためのポイントを説明します。

なぜ告訴は受理されにくいのか?

最近ではテレビドラマの題材でも取り上げられていますが,わが国の起訴有罪率は限りなく100%に近い数字を示しています。
このことから「捜査機関は有罪になる事件だけを捜査している。」という誤解が生じており,告訴に関しても「起訴が見込めれば受理してもらえる。」というイメージがありますが,これは誤りです。

捜査機関に持ち込まれる告訴は,実に様々な思惑を秘めています。
純粋に犯罪被害に対する強い処罰意思だけでなく,民事トラブルに起因して示談交渉を有利に運ぶため,腹いせのため…

これらを受理する基準は「起訴して有罪を勝ち取ることができるのか?」ではなく,捜査機関は「受理することが事案の解決につながるのか?」を検討します。
実際に,法律の解釈に無理がある告訴でも,受理して送検することで一応の決着がつく内容であれば受理されやすいでしょう。
反対に,構成要件上は間違いなく犯罪に該当しても,受理が何の解決にも結びつかなければ,受理されにくくなります。

分かりにくいので,民事トラブルの腹いせに詐欺で告訴する場合を例に,もう少し説明しましょう。
法律の解釈上は詐欺に成り得ない内容であっても,腹いせをストップさせる意味では一応は受理して捜査機関の段階で「詐欺は成立しない。」とお墨付きを与えたうえで送検することは非常に有効です。
告訴人にしてみれば「打てる手は打ったが…」と断念せざるを得なくなります。

反面,明らかに詐欺が成立する内容でも,思惑ばかりが先行していたずらに告訴していれば「それでは解決につながりませんよ?」と受理されにくくなります。
捜査機関に告訴を受理されにくい理由は,起訴有罪率を見越したものでも,人員を割くことへの難色でもありません。
告訴の受理が問題解決につながるのか否かという点が,告訴受理への重要な条件なのです。

どうすれば告訴を受理させることができるのか?

告訴には『形式的要件』と『実質的要件』が存在します。

形式的要件とは

  • 告訴人が告訴権者(被害者本人や法定代理人など)であること。
  • 公訴時効が完成していないこと。
  • 既に処分がなされた事実についての告訴でないこと。

実質的要件とは

  • (親告罪に限っては,告訴期間内であること,以前に取り消した再告訴ではないこと。)
  • 犯人に対する処罰意思が明白であること。
  • 犯罪事実が特定されていること。「告訴を受理する際の条件は?」という法学の問題であれば,この説明ができれば点数はもらえますが,実務ではそうはいきません。

これらが充足されている必要があります。

では,告訴を受理させるための実務的なポイントを紹介します。

告訴状を作成すること

 

告訴は口頭で行うことが可能であり,その場合は司法警察員が告訴調書を作成することで足りるとされています。
口頭で告訴することを捜査機関が拒むことはできませんが,それは暴行や傷害,器物損壊などの犯罪事実が簡単に構成できる事件のお話でしょう。

ほとんどの事件が,告訴状+供述調書(乙)で関係書類をまとめており,告訴調書による例は稀です。
署長決裁を得るにも告訴状を求められることが多いので,告訴状を用意しておくと受理されやすくなります。

犯罪事実を絞り込むこと

しかし,犯罪事実が「この行為は○○罪にあたり,またこの行為は□□罪にあたり,さらにこの行為は△△罪に…」などと,たくさんの罪名を並べ立てた長いストーリーになることは適当ではありません。犯罪事実もぼやけてしまうので,受理までに事実を1つに絞るように申し向けられてしまうでしょう。
主たる犯罪を絞り込み,ほかの行為は情状的に語るほうが,受理されやすく起訴にも持ち込みやすいと言えます。
例えば窃盗・詐欺・道路交通法を並行して告訴した場合,それぞれを担当する係どころか課が違うために,受理が難航します。
告訴は強い処罰意志の表れですから,相手方の行為についてできる限り処断したい気持ちがあって当然です。

告訴の持込みを弁護士に依頼すること

告訴の持込みを法律に明るい弁護士に依頼,または同伴してもらうだけでも警察官は身構えるので,格段に受理されやすくなります。告訴は「市民が捜査の開始を発動させる唯一のスイッチ」です。
被害者当人だけで告訴を口にすると「だいたい告訴とは…」などと断り文句を言い出す警察官も少なくありません。
問題解決への一助となるように,上手に活用しましょう。


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