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<保釈請求>犯罪類型毎の保釈の運用-強盗-

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強盗罪の法定刑は、5年以上の有期懲役ですから、法89条1号に該当するため、権利保釈は認められません。

しかし、強盗罪の類型に属するものとしては、典型的な強盗(以下では、「通常の強盗」として扱います。)のみならず、事後強盗、昏睡強盗のほか、いわゆる2項強盗も含まれるため、その犯情には微妙な違いがあります。
そのため、判決結果においても、執行猶予となるケースも出てくるのです。そこで、強盗の態様に即して、裁量保釈の当否を検討することとしますが、当該強盗事件の軽重、態様・内容、犯情、被告人の経歴、行状、性格、前科、前歴、家族関係、健康状態、公判審理の状況、勾留期間、共犯者がいる場合には共犯者の状況等から、保釈保証金によって出頭確保が期待でき、身柄拘束による不利益が大きい場合には、裁量保釈の余地もあり得ると考えられます。

通常の強盗

① 金融機関を狙った強盗

世間を騒がしたりする銀行強盗などです。
この種強盗は、単独事件であれ、共犯事件であれ、大金を狙った強固な動機に基づくもので、凶器の類(けん銃、模造けん銃、金属バット、包丁類)を携え、人身に対する危害が及ぶ危険性も高く、計画的、大胆かつ悪質なため、裁量保釈の余地はないと考えられています。

② 連続強盗

手っ取り早く金が得られるという動機から、通り魔的かつ無差別に、通行人を狙って、連続的に犯行が重ねられる傾向にあり、凶器としては包丁や金属バットが用いられ、身体に危害が及ぶ危険性も高く、計画的、大胆かつ悪質なため、裁量保釈の余地はないと考えられています。

③ 押し込み強盗

他人の家に押し入って、家人に暴行を加えたり、脅しつけたりして、金品を奪い取るもので、計画性もうかがわれ、大胆かつ悪質なため、裁量保釈の余地はないと考えられています。
この種の強盗には、周りに人家のない一軒家に狙いをつけ、家人を縛り付けたり、閉じ込めたりして、発覚や通報に時間を要する隙に、遠くまで逃げ延びようとするものや、資産家を狙って大金を得ようとするものなど、動機ばかりでなく、犯行の方法・態様・手口が悪質なものが多いように思われます。

④ 路上強盗

路上で通行人に暴行を加えたり、脅したりして、所持金などを奪い取るものですが、共犯者がなく、計画性のない、出来心からの単発的で偶発的な犯行という場合には、常習性もうかがわれず、また、証拠上、その犯行態様が客観的に明らかになっている限り、実効性のある罪証隠滅行為に及ぶ現実的可能性は低く、罪証隠滅のおそれはないものと考えられます。
そうしますと、法89条1号に該当するとしても、当該強盗事件の態様・内容、暴行・脅迫の程度、被告人の経歴、日常の行状、性格、前科前歴の有無、家族関係、健康状態等を考慮し、被害品が押収され、あるいは弁償等により被害が回復されていれば、裁量保釈が認められるケースもあると考えられます。

タクシー強盗

乗客を装い、強度の暴行・脅迫を加えて売上金を奪い取ったり、あるいは、移動手段としてタクシーを利用し、強度の暴行・脅迫を加えて料金を踏み倒すもので、一般的には計画性も高く、タクシーという密室内での犯行であるため、運転手に与える恐怖の度合いも強く、悪質なことから、裁量保釈の余地はないと考えられています。
ただ、タクシー料金の踏み倒しに当たる2項強盗には、酒の酔いも加わり、いわゆる虫の居所が悪くなって犯行に及ぶという、被告人の性格や日ごろの行状からは考えられない事案もあり、そのような事案については、被害弁償が前提となりますが、裁量保釈が認められると考えられます。

事後強盗

基本犯は窃盗ですから、窃盗そのものが偶発的な犯行、出来心による犯行、あるいは魔がさしての犯行という場合には、あらかじめ凶器を隠し持っていたなどの事情がない限り、暴行・脅迫の程度や一般情状を考慮し、被害金品の回復がなされていれば、裁量保釈が認められるケースもあると考えられます。

昏睡強盗

計画的で、悪質性が高いことから、裁量保釈の余地はないと考えられています。

 


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