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警察が告訴を受理してくれない犯罪類型とは?

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「告訴はなかなか受理してくれない。」というイメージは,あながち間違いではありません。

刑事訴訟法では要件を満たし適法になされた告訴について,警察が不受理にすることを想定していません。
つまり,適正な告訴を警察は不受理にすることができないのです。

では,なぜ警察はなかなか告訴を受理してくれないのか?
今回は,警察がなかなか告訴を受理してくれない理由や,告訴が受理されにくい犯罪類型についてお話しします。

「告訴を受理しない」ことは適法なのか?

告訴は,不幸にも犯罪被害に遭ってしまった被害者が犯人に対する厳罰を望み捜査を発動するために用意された,唯一無二のスイッチです。

告訴を受理しないことは市民の権利を侵害する行為だと言えます。
それ故に,告訴を受理されなかったことに対して警察や都道府県を相手に国家賠償の訴訟が提起されるケースも少なくありません。
適法になされた告訴を受理しなかった場合,警察や都道府県が告訴人に対して賠償責任を負うことになります。

こうして考えると,警察が告訴を受理しないことは刑事訴訟法に違反しており,仮に刑事訴訟法が刑事警察に対する取締法であれば『刑事訴訟法違反』を構成する可能性さえあります。(現実にはそんな罪名は存在しませんので悪しからず。)

なぜ告訴を受理してもらえないのか?

告訴を受理しないことは違法ですが,なぜ告訴が受理されないと多くの声が挙がるのでしょうか?
告訴が受理されない理由を考えてみましょう。

①告訴事実が犯罪を構成しない

最も多い不受理の理由がこれです。
被害者が被害に遭ったと思い込んでいても,告訴事実を紐解いて考察した時に実は犯罪を構成しない場合が多々あります。

例えば「借金を頼まれてお金を貸したが返済してくれない。」という事例。
借入時点では返済意思があっても,会社の倒産などで支払能力がなくなり返済不能に陥った場合は,詐欺ではなく民事上の債務不履行となり犯罪にはなりません。

貸金を回収できないと相手を許せない心情から詐欺で告訴するわけですが,真実が債務不履行であれば重箱の隅をいくら突いても詐欺には変身しません。

このような犯罪事実で告訴しようとしても,受理を検討する段階で犯罪を構成しないことが判明すれば,告訴は受理されません。

②公訴時効が完成している

告訴事実が公訴時効完成前であることは絶対必須の要件ですが,意外にも公訴時効を迎えた告訴が持ち込まれることがあります。
単純に公訴時効を知らずに持ち込まれることは極々稀で,犯罪事実の考え方を誤っている場合がほとんどです。

「8年前に知人のCさんにお金を貸した。返済を求め続けていたが,最近になってCさんから『遺産が入るから,その後で全額返済する。』と言われた。しばらく経ってから,Cさんの遺産話はウソだと判明したので,詐欺で告訴したい。」という事例で考えてみましょう。

確かにCさんは借金の言い逃れとしてウソを言いました。
ついに返済を受けられると思っていたのに裏切られるわけですから,腹が立っても当然です。

しかし,Cさんにお金を貸したのは8年前で詐欺の公訴時効は7年。
すでに時効は完成しています。

「ウソを言ったのは最近だから,そこが新たな詐欺だ!」と主張しても,新たなウソによって被害者は財物の交付をおこなっていないので,詐欺を構成しません。
あくまでも犯罪事実は交付の時点です。
犯罪事実を特定する部分を読み違えると,公訴時効が完成した犯罪でも告訴できると勘違いしてしまうので,事実の特定は慎重になるべきでしょう。

告訴が受理されにくい犯罪類型は?

ここでは告訴が受理されにくい犯罪類型をトップ3形式で紹介しましょう。

第1位  詐欺

受理,不受理ともに件数が1位になるのが詐欺です。
理由は,犯罪を構成しない,要件を満たしていないなどの基本的なものばかりです。
詐欺で告訴を検討している場合は,告訴事実が時効を迎えていないか?被害者となり得るか?などの基本的な要件を熟考しておく必要があります。

第2位  横領

詐欺に次ぐ知能犯罪の代表格である横領が第2位です。
横領が受理されにくい理由の多くは「横領が成立しないこと」です。
委託関係がない,または薄いことで不受理になりますが,再考すれば窃盗を構成することも多いので,告訴事実を見直しましょう。

第3位  名誉毀損

親告罪なので告訴が訴訟要件になりますが,名誉毀損も犯罪を構成しない場合が多く,不受理になりやすい犯罪です。
公衆性がない場合は名誉毀損が成立せず,犯罪を構成しませんが「伝播の危険性」を押し出せば期待できるでしょう。

 

いかがでしたか?
トップ3は難しい犯罪で固まりましたが,告訴がなされる犯罪は基本的に単純な犯罪ではない場合がほとんどです。

一度,不受理になっても,告訴事実の切り口を見直せば犯罪を構成する場合もあるので,告訴事実の熟考が大切です。

 
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