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刑事事件

<保釈請求>犯罪類型毎の保釈の運用-器物損壊-

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器物損壊罪は、法定刑が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」ですから、執行猶予や罰金刑で終わるケースも多く、偶発的な犯行、出来心による犯行という場合には、常習性もうかがわれず、また、証拠上、その犯行態様が客観的に明らかになっている限り、罪証隠滅のおそれはないものと考えられます。

しかし、器物損壊には、悪質な内容も多く含まれ、付近住民に不安や恐怖を与える態様や、芸術的にも価値が高く、高価な物を損壊したり、他人の動物を殺傷したり(同時に、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)の該当性も問題になります。)する場合もあります。

そこで、実務で問題となる事例に関し、保釈について検討することとします。

自動車・バイク・自転車のタイヤをパンクさせる場合

模倣犯あるいは愉快犯的な犯行の場合もありますが、往々にして、犯行が繰り返される傾向も強く、さらに、むしゃくしゃした気分を晴らしたいという身勝手な動機から、場当たり的、無差別・連続的に犯行に及ぶこともあり、そのような事案については、法89条3号の「常習として犯した」ものとして、権利保釈は認められません。

しかし、逮捕・勾留、そして起訴されるに至ると、同種、他種を問わず、前科があれば別ですが、多くの場合、初めて身柄拘束を経験したことから、深い反省と後悔の念を抱くものです。
そうしますと、被告人が事実関係を認め、犯行態様も客観的な証拠によって裏付けられていれば、罪証隠滅のおそれはないものといえます。
したがって、裁量保釈を認めるのが相当ということになります。

問題は、不良仲間との共謀による事案で、犯行や関与を否認している場合です。
このような事案では、仲間との通謀や、犯行に用いた道具類(釘、千枚通し等)を隠匿、投棄する高度の蓋然性がありますから、実効性のある罪証隠滅行為に及ぶ現実的可能性が高いとして、権利保釈は認められませんし、被告人質問の段階に至るまで、裁量保釈も認められないといえます。

自動車・バイク・自転車に放火する場合

住宅近くに駐車されている自動車やバイク、あるいは駐輪されている自転車に、灯油やガソリンをふりかけ、マッチやライターで点火して放火したところ、住宅に燃え移ることもなく、公共の危険が生じなかったときは、自動車・バイク・自転車に対する器物損壊罪が成立します。

この種の犯行は、連続的に敢行されることもあり、近隣住民や社会一般に不安や恐怖を与えるもので、悪質性も高いといえます。

常習的な犯行の場合は、法89条3号に該当するため、権利保釈は認められません。
他方、被告人が起訴内容を認め、検察官請求の証拠に同意してその取調べを終え、被告人質問のみを残す場合は、信頼できる身柄引受人がいて、公判への出頭確保と日常生活の監督が期待できれば、裁量保釈が認められるといえます。
被告人が起訴内容を争っている場合は、犯行そのものが、防犯カメラや自動車の車載カメラに偶然写っていて、客観的な証拠があればともかく、被告人と犯行を結びつける証拠が決め手になるわけですから、アリバイや物的証拠に対する実効性のある罪証隠滅行為に及ぶ現実的可能性が高く、公判での証拠調べで客観的事実が明らかになるまでは、裁量保釈も認められないといえます。

自動販売機を損壊する場合

小銭を盗み取るため、自販機を損壊する犯行が、連続的になされれば、法89条3号の「常習として犯したこと」に該当するため、権利保釈は認められません。

また、起訴された器物損壊が、当該犯罪の性質、犯行の動機、態様、被告人の環境、前科前歴の有無及び内容その他諸般の事情を考慮して、被告人に同種犯罪を反覆する習性があると認められる場合もあります。
しかし、窃盗グループによる、連続的な自販機の損壊は別として、窃盗の前科前歴はあっても、単発的・偶発的な犯行も多いのです。
常習的な犯行と認定され、権利保釈が認められない場合は、公判で起訴内容を認め、証拠調べが終われば、裁量保釈が認められるといえます。

 

 

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