一人で法律事務所を経営する弁護士のためのサポートサイト

Lawyer's Helper

刑事事件

<保釈請求>犯罪類型毎の保釈の運用-脅迫-

投稿日:


脅迫とは、相手方又は親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対し、害を加える旨を告知し、一般人を畏怖させる(すなわち、恐怖心を抱かせる)に足りる程度のものであることを要します。

その方法も、文書でも口頭でも、また態度であってもよく、明示・黙示を問いません。
害悪の告知によって脅迫罪が成立しますので、現実に相手方が畏怖したかどうかは問わないのです。

しかし、害悪の告知そのものが録音されていたり、中立的な立場の第三者が脅迫現場に居合わせたりした場合はともかく、往々にして、被告人と相手方の供述が、脅迫内容を言った、言わないという、害悪の告知やその経緯を巡り、対立することがないわけではありません。
被告人が捜査段階から一貫して起訴内容を認めていれば、権利保釈が認められる可能性が高いといえます。

しかし、脅迫の相手方との関係によっては、罪証隠滅のおそれはあるとみられ、ただ、実効性のある罪証隠滅行為に及ぶ現実的具体的な可能性は高いとはいえないとして、当該相手方との接見禁止等の条件を付して、裁量保釈が認められるケースもあります。

一方、被告人が、起訴内容を争っている場合、被告人と脅迫の相手方の供述が対立しているわけですから、第1回公判期日前に権利保釈が認められることはありません。

脅迫の相手方の証人尋問が終われば、実効性のある罪証隠滅行為に及ぶ現実的具体的な可能性は低くなったわけですから、権利保釈は認められると考えられます。

問題は、脅迫の相手方の証人尋問が終わる前に、裁量保釈が認められるか否かです。脅迫罪については、法定刑が2年以下の懲役又は30万円以下の罰金ですので、「常習として犯した」場合でも、権利保釈除外事由とはなりません。

そこで、実務上問題となる類型について、検討することとします。

相手方が近隣の住民である場合

近隣住民とトラブルになり、その揉め事の過程で、被告人が相手方を脅迫した場合、日常の生活において、互いに顔を合わせないわけにはいかないでしょうから、相手方の証人尋問が終わるまでは、裁量保釈は認められないと考えられます。

相手方の証人尋問が終わり、今後の証拠調べが、被告人質問を残すのみで、他に証人尋問の予定がなければ、権利保釈が認められると考えられます。

他に証人尋問が予定されている場合ですが、最重要証人である相手方の証人尋問が終わっているわけですから、証人予定者との接見禁止等を付して、裁量保釈が認められると考えます。

相手方がストーカー行為の被害者である場合

ストーカー行為等の規制等に関する法律により、ストーカー行為等については必要な規制がなされるものの、被告人が特定の者や特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、脅迫行為に及ぶ事例もあります。

しかし、常習として犯しても、権利保釈除外事由ではありません。相手方の証人尋問が終わり、今後の証拠調べが、被告人質問を残すのみで、他に証人尋問の予定がなければ、権利保釈が認められると考えられます。

また、最重要証人である相手方の証人尋問が終わっても、その相手方と社会生活において密接な関係を有する者の証人尋問が予定されている場合は、証人予定者の重要性の度合いにより、裁量保釈の許否が決まると考えられます。

脅迫事件が偶発的で、被告人が一般市民の場合

日常の生活上において、いろいろなトラブルから、一般市民である者も、偶発的に、たまたま出会った者に脅迫行為に及び、結果として起訴されるに至る場合もあります。

被告人と相手方との間に全く面識がなく、お互いの生活圏も異なり、犯行現場で出会ったにすぎない場合には、被告人が、起訴内容を争っているからといって、実効性のある罪証隠滅行為に及ぶ現実的具体的な可能性は低いといえますから、権利保釈が認められると考えられます。

ただ、お互いの住所、職場などが偶然近いことが分かった場合は、起訴内容を争っているので、相手方の証人尋問が終了するまでは、相手方との接見禁止等の条件を付して、裁量保釈が認められるでしょうし、相手方の証人尋問が終われば、権利保釈が認められることになります。

 

 

この記事がお役にたちましたら「いいね!」をお願いいたします。


adスマホ用

adスマホ用

-刑事事件

Copyright© Lawyer's Helper , 2017 AllRights Reserved Powered by AFFINGER4.