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ストーカー被害に遭った場合,告訴する?告訴しない?

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ストーカー被害で警察に届出をする場合,適用させる法令次第では告訴が必要になる場合があります。
反対に,必ずしも告訴する必要はない場合もあります。

今回は,ストーカー被害で告訴することのメリットとデメリットを,受理の可能性も含めて紹介します。

ストーカー規制法の場合は告訴が必要!

『ストーカー等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)』で検挙される事件の約95%が待ち伏せや監視,執拗な電話やメール送信などに代表される『ストーカー行為』で検挙されています。

これはストーカー規制法第13条違反での検挙であり,さらに同条第2項によって『親告罪』であることが規定されています。

親告罪とは,被害の届出,事件の捜査,刑事裁判などの手続によって,被害者自身のプライバシーが傷つけられたり生活が脅かされるなどの不利益が生じる犯罪のことで,検察官が控訴を提起する場合には必ず告訴が必要になります。

ストーカー規制法第13条のほか,強姦,強制わいせつなどは,警察の捜査や裁判によって被害者が痛ましい被害を想起してしまったり,被害が公になって周囲に被害が知れわたってしまうという不利益が生じるため,親告罪に規定されています。

つまり,ストーカー規制法第13条の被害を警察に届け出る場合は告訴が必須になります。

ストーカー被害に遭った場合、告訴するメリット

メリットと言えば捜査や裁判の手続きが可能になることですが,これは必須なのであえてメリットと呼ぶべきではないでしょう。

ストーカー被害に遭った場合、告訴するデメリット

デメリットと言えば,取り下げをしても犯人が送付されることです。(※送付=告訴と同意義で,身柄の拘束がない任意の告訴事件を検察庁に送ること)

とらえ方によってはメリットですが,犯人が送付されることで,被害者は警察での事情聴取だけでなく,検察官による事情聴取にも応じる必要が生じます。

さらに,被害届であれば「やはり罪に問うまでの処罰意思はない」となれば取り下げは可能ですが,告訴の場合は取り下げても犯人は送付されることになるため,ある意味では「後戻りのできない手続き」だとも言えるでしょう。

ストーカー規制法を適用しない場合は告訴は不要!

一概に『ストーカー事件』と言っても,ストーカー規制法で検挙される事件は少数派です。
平成27年中のストーカー事件で検挙された人員は2,415人,うちストーカー規制法で検挙されたのは647人,割合にして約26%。

実はストーカー規制法で検挙された犯人は少ないのです。
残りの70%超は,暴行や傷害,住居侵入などの刑法犯やストーカー規制法を除く特別法犯で検挙されています。

刑法犯や特別法犯の場合で特に親告罪に規定されていない罪名に該当する場合は,告訴を要しません。

被害届の提出で対応が可能です。

被害届で対応が可能なところをあえて告訴するメリット
  • 被害届であれば警察署の判断によって送付の可否が左右されるのに対して,告訴であれば一旦受理されれば送付が約束されている
  • 告訴事件は刑事訴訟法によって「受理後は速やかに捜査を遂げて事件を送付する」と規定されているので,優先的に捜査を行い送付される
告訴するデメリット
  • 捜査への協力に疲弊したり,犯人側との和解が成立しても必ず送付されるため,引き続き警察や検察の捜査や事情聴取に協力する必要がある
  • 自分で告訴状を用意するように求められた場合は自作,または弁護士や司法書士などに作成を依頼することになり,費用もかかる

事件の捜査は告訴でも被害届でも同じです。
告訴事件だからといって罪が重くなる訳ではありません。

告訴が必須ではない場合,あえて告訴するメリットはほとんどないと言ってもいいでしょう。

 

ストーカー被害の告訴,受理される可能性は?

何かと受理,不受理が問題になる告訴ですが,ストーカー被害の告訴は受理される可能性が非常に高いと言えます。

昨今,ストーカー,ドメスティックバイオレンスなど,男女関係のもつれに起因した痛ましい事件が多発しています。
警察はこのような時流に鑑み,特に男女関係のもつれに起因する事案に対して敏感になっています。

告訴状や被害届の提出を強く勧めたり,告訴しやすいように警察側が犯罪事実を記載した程度の簡易的な告訴状を用意してくれたり,被害が深刻で被害者に危険が及ぶおそれがある場合は被害届や告訴なしでも強制的に事件着手するよう指導されているほどです。

被害者が告訴の意思を示せば特に拒まれることなく受理される可能性は高いのですが,親告罪に該当しない場合はあえて告訴をするメリットがないことも教示してくれるでしょう。
それでも告訴にこだわるかどうかは被害者の自由です。

犯罪事実が成立する限り,法律の解釈上,警察は告訴を不受理にすることはできません。
今回紹介したメリット,デメリットに照らして選択して頂くと良いでしょう。

 

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